【ネタバレなし】映画『かくしごと』感想・キャスト解説|奥平大兼×出口夏希の繊細な青春群像劇

はじめに|静かに胸を打つ、繊細な青春ドラマが誕生
2025年5月30日に公開された映画『かくしごと』は、人気作家・住野よるによる同名小説を原作とした青春群像劇です。主演は奥平大兼さんと出口夏希さん。人の気持ちが少しだけ「見える」という特別な力を持った高校生たちが、それぞれの“かくしごと”(=心の奥に秘めた思い)を抱えながら過ごす日々を描きます。
本記事では、ネタバレなしで作品の魅力やキャストの見どころをご紹介します。
作品概要
- タイトル:か「」く「」し「」ご「」と「
- 公開日:2025年5月30日
- 原作:住野よる『かくしごと』(新潮文庫)
- 監督・脚本:中川駿(『カランコエの花』『少女は卒業しない』)
- ジャンル:青春/ヒューマンドラマ
- 配給:松竹
あらすじ(ネタバレなし)
物語の舞台は、どこにでもあるような高校。内気な男子・大塚京(奥平大兼)は、人の心が少しだけ“見える”という不思議な力を持っています。そんな彼が想いを寄せるのは、明るくて真っ直ぐなクラスメイト・三木直子(出口夏希)。
京は自分の力に戸惑いながらも、直子の“本当の気持ち”が見えてしまうことに複雑な思いを抱きます。彼女が憧れる“ヒーロー”になるために、自分に何ができるのか。そして周囲の友人たちもまた、それぞれに“かくしごと”を抱えていて……。
注目キャストと役どころ
奥平大兼|大塚京(おおつか けい)
人の気持ちが見えるという力に翻弄される内向的な少年を、奥平大兼さんが繊細に演じています。視線の動きや沈黙の演技で心の揺れを表現する演技が秀逸です。
出口夏希|三木直子(みき なおこ)
クラスの中心的存在であり、”誰かのヒーローになりたい”という夢を抱く少女。出口さんの自然体な演技が、直子というキャラクターの持つ光と影の両面を見事に映し出しています。
佐野晶哉(Aぇ! group)|高崎博文(たかさき ひろふみ)
明るくてお調子者ながら、友達想いな体育会系男子・ヅカを好演。彼の持つ“弱さ”にも丁寧に寄り添った演技が印象的です。
菊池日菜子|黒田文(くろだ あや)
少し浮いた存在感を持つ、ミステリアスな少女・パラ役。周囲との距離感や視線の投げ方に独特の雰囲気があり、物語に深みを与えています。
早瀬憩|宮里望愛(みやさと のあ)
控えめで心優しい少女・エルを演じるのは、早瀬憩さん。微笑み一つで場の空気を変えるような穏やかな存在感を発揮しています。
見どころ
見どころ1:”かくしごと”が紡ぐ、優しくて切ない青春群像劇
本作の魅力は、一人ひとりが抱える“かくしごと”を丁寧に描いていること。誰にも言えない不安や想いが、少しずつ交差し、重なり合っていく展開には胸を打たれます。
見どころ2: セリフ以上に雄弁な”沈黙”の演出
監督・中川駿の手腕により、言葉にしない想いが画面から伝わってきます。視線のぶつかり合い、ちょっとした間、空気の揺れまでもが感情として機能している点は必見です。
見どころ3: 原作の空気感を忠実に再現
住野よる作品の特徴である”繊細でちょっと不思議“な世界観を、映画はそのまま映像に落とし込んでいます。小説を読んだ人にも、初見の人にも優しい作りです。
こんな人におすすめ!
- 心情描写の細かい青春映画が好きな方
- 奥平大兼・出口夏希ファン
- 『君の膵臓をたべたい』や『カランコエの花』が刺さった方
- 住野よる作品が好きな方
- 静かに感情を揺さぶられたい人
感想
まずは主要キャストの5名が素晴らしくて、それぞれの抱える悩みや葛藤を繊細に表現していて非常に良かったです。
特に菊池日菜子演じるパラのエピソードが良かった。ほんとの自分って何?なりたい自分を演じている自分はほんとの自分じゃない?器用になんでもこなせてしまうからこそ、自分を見失ってしまっているパラに共感が止まりませんでした。菊池日菜子さんの演技も良くて彼女の普段のキャラクターと葛藤する姿がとても納得感高くてスッと入ってきました。そんなパラに声をかける佐野晶哉演じるヅカの言葉も良かった。
早瀬憩演じるエルと奥平大兼演じる京くんの関係性も良かった。二人とも“自分なんかが”と自分を卑下してまうのだが、だからこそ他人にかけられる優しい言葉があって、理解できる気持ちがある。そしてそのことをお互いが理解しあって支え合っている姿が暖かくて良かったです。図書館で紙切れに手書きのメッセージを書き合っている姿も二人の遠慮がちな性格を表していて良かった。
出口夏希演じるミッキー。ヒロインじゃなくてヒーローになりたい。まっすぐで太陽のように明るくてずっと可愛かった。自分の進路に悩む彼女は誰よりも自分に厳しい一面も。でも、だからこそ、みんなの心をこじ開けて照らすことができたのだと思います。
様々な感情が見えてしまう一見ファンタジーのようだが、それは“能力”じゃなくて“個性”。誰しも他人の感情に揺さぶられながら生きている。
自分のことで悩んでいる人や他人にどう思われているか悩んでいる人にとって、そんな“自分の弱さ”を認めて前に一歩進み出すことができる素晴らしい映画だと思いました。是非鑑賞してみてください。