“闇を抱えたヒーロー”の魅力とは?MCU屈指の複雑キャラ、バッキー・バーンズを読み解く

① 導入:闇を抱えたヒーローの魅力とは?
近年、ヒーロー像は大きく変化してきました。かつては正義感にあふれる“完全無欠の存在”として描かれていたヒーローたちが、今では心に傷を負い、過去と葛藤しながらも前を向こうとする“等身大の存在”へと進化しています。 その潮流の中で、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)においても、いわゆる“闇を抱えたヒーロー”たちが存在感を増してきました。
その代表格と言えるのが、バッキー・バーンズです。元はキャプテン・アメリカの親友でありながら、ある出来事をきっかけに暗殺者「ウィンター・ソルジャー」として洗脳され、数々の罪を重ねた過去を持つ彼。今回は、MCUでも屈指の複雑な背景を持つこのキャラクターを深掘りし、その魅力に迫ります。
② バッキー・バーンズとは?MCUにおける役割と変遷
バッキー・バーンズは、MCUでは『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年)で初登場。第二次世界大戦中に親友スティーブ・ロジャースと共に戦っていた彼は、戦場での任務中に行方不明となります。
しかし、彼は死んではいませんでした。敵組織ヒドラによって洗脳され、“ウィンター・ソルジャー”として蘇ったバッキーは、数十年にわたり暗殺者として活動し続けます。その後、自我を取り戻し、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)などを経て、彼は過去と向き合う決意を固めていきます。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年)では、アベンジャーズの戦いを終えた後、PTSDや罪悪感と戦いながら贖罪の旅を続ける姿が描かれました。単なる“改心した元悪役”ではなく、傷と罪を背負った一人の人間としてのバッキーが、より深く掘り下げられたのです。
③ バッキーの“闇”とは何か?
バッキーの“闇”とは、端的に言えば「自分の意思ではない殺人を繰り返してきた」という重すぎる事実です。洗脳されていたとはいえ、その記憶は彼自身に残っており、PTSDとして何度もフラッシュバックします。
スティーブとの絆を信じながらも、「自分はヒーローになっていい存在なのか?」という問いをずっと抱えている姿には、観る側も強く感情移入せざるを得ません。正義とは何か、償いとは何かを問い直させる存在、それがMCUにおけるバッキー・バーンズなのです。
④ なぜ人は“バッキー”に惹かれるのか?
バッキーが多くのファンに支持される理由は、その“人間らしさ”にあります。完璧ではない。むしろ不完全で、壊れている部分もある。でも、だからこそ応援したくなる。彼のキャラクターは、過去に囚われながらも一歩ずつ前に進もうとする現代人の象徴でもあります。
また、バッキーは感情を爆発させるようなキャラではありませんが、その無口さや沈黙の中にある“静かな情熱”や“深い後悔”を、表情や仕草で演じる演技も魅力のひとつです。

あとはなんと言ってもそのビジュアル。カッコ良すぎます。
⑤ 関連作品紹介:バッキーを深く理解するために観るべきMCU作品
- キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)
- キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)
- シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)
- アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)
- アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)
- ファルコン&ウィンター・ソルジャー(2021)
⑥ バッキーを演じる俳優:セバスチャン・スタンという存在
セバスチャン・スタンは、ルーマニア出身の俳優であり、バッキー・バーンズ役で世界的に知られるようになりました。代表作には、実話をもとにしたスポーツドラマ『アイ, トーニャ』(2017年)や、話題のドラマシリーズ『Pam & Tommy』(2022年)などがあります。 特に『Pam & Tommy』では、実在のロックスター、トミー・リー役を演じ、エミー賞にもノミネートされました。
彼の演技は、内面の葛藤や痛みを繊細に表現することに長けており、バッキーという複雑なキャラクターに深みを与えています。その寡黙な佇まいの中に、愛、後悔、怒り、孤独といったさまざまな感情が見え隠れする様は、セリフ以上に雄弁です。
⑦ 原作との違いから見える、MCUバッキー像の再構築
原作コミックにおけるバッキーは、もともと“明るく快活な少年兵”としてキャプテン・アメリカと行動を共にするキャラクターでした。年齢も若く、ある意味で「弟分」的な存在だったのです。しかし、MCUではキャップと同世代の軍人として描かれ、より対等な親友という関係性になっています。
また、原作でも“ウィンター・ソルジャー”としての復活はありますが、MCU版ほどリアルな葛藤や贖罪の旅は描かれていません。MCUでは「元暗殺者がヒーローとして生き直す」というテーマを軸に、現代的なドラマとしてバッキー像を再構築しています。
この改変によって、単なる“サイドキック”ではなく、「もう一人のキャプテン・アメリカ」とも言える存在感を確立。彼のストーリーは、MCU全体における“再生”や“希望”の象徴として機能しています。
⑧ 結論:バッキー・バーンズは「贖罪と再生」の象徴
バッキー・バーンズは、ただのヒーローではありません。彼は罪を犯し、それでも前を向こうとする人間の物語を体現しています。その姿は、私たち自身が何かを乗り越えようとするときに、そっと背中を押してくれるような力を持っています。
今後のMCUでは、映画『サンダーボルツ』で『ニューアベンジャーズ』の一員になったことが、明かされているため、アベンジャーズシリーズに登場することが確定している。現在のキャプテンアメリカであるサムとの関係性もどうなっていくのか注目。


MCUの中でも登場作品の多いバッキー。彼の苦悩と葛藤の日々から今は良いヒーローになろうと奮闘しています。そんな人間味あふれたバッキー・バーンズを応援せずにはいられません!



MCUの中でも登場作品の多いバッキー。彼の苦悩と葛藤の日々から今は良いヒーローになろうと奮闘しています。そんな人間味あふれたバッキー・バーンズを応援せずにはいられません!

